オリジナル曲をつくる最初の段階として、曲のテーマを決めるというのがあります。
曲のテーマは、その人の心の中に浮かんだ情熱や主張、伝えたいこと表現したいことをそのまま反映させればいいと思います。
しかし、自分の表現したいことが何なのか、具体的に言葉にできない、何となくのイメージはあるけど、どうカタチにしたらいいかわからない、ということも多いと思います。
今回は、曲のテーマや表現したい内容について、どんな方向性で考えればいいのか、具体例を出しながら説明していきたいと思います。
情景を描くもの
曲で表現する内容について、大きく分けて3つの方向性があると思います。
1つ目は、情景を描くものです。
聴き手に、ある場面や風景を思い描かせることをテーマにしているものです。
情景描写やキーワードとなるモノ・場所・時間などなどを音や言葉として表現します。
同時に、風景や場面に遭遇したときに込み上げる感情なども表現しますが、感情を直接的に描写するというよりは、視覚的な物事を描写して、そこから聴き手が感情を汲みとる、というようなスタイルが多いです。
例えば、DAOKO×米津玄師さんの「打上花火」。
ほとんどの描写が風景や起きた事実を語っているだけのスタイルです。
その場面を鮮明に思い浮かべられますね。
また、この場面にいる主人公たちがどんな感情なのか、多くを語りません。
聴き手がイマジネーションを膨らませられるような表現になっています。
感情を語るもの
2つ目の方向性は、感情を語るものです。
ある感情や想いを直接的に表現して聴き手に伝えることをテーマにしているものです。
聴き手が感情移入しやすく、伝えたい内容もシンプルにわかりやすく届きます。
内面描写や感情を表す描写が表現の主になります。
日本のPopsの曲ではこのスタイルが1番多い印象です。
例えば、Official髭男dismさんの「Pretender」。
一曲を通じて、主人公の心の中の呟きや感情を描写しています。
一人語り、と言った感じで、主人公の感情をストレートに表現しています。
主張を伝えるもの
3つ目の方向性は、主張を伝えるものです。
その人の人生哲学や社会・政治に対する考え方など、感情や想いというよりは、ある物事についての主張を聴き手に伝えるスタイルです。
日本のPopsにはあまり多くありませんが、海外だとよくみられます。
ストレートに伝えると重くなってしまうことがあるので、比喩を多用したり、ときにはブラックジョークっぽくしたり、音楽にのせて伝わりやすくする工夫が必要です。
例としては、星野源さんの「うちで踊ろう」。
コロナ禍という社会状況に対して、「ステイホームして、またいつか生きて会おう」という星野源さんの主張が一貫して表現されています。
軽快な曲調とオシャレなアレンジにのせて歌うことで、重くなりすぎず、それでいて曲のメッセージがしっかり心に響く表現になっています。
歌詞だけでなく音楽全体で表す
以上、3つの方向性をご提案してみました。
そのときどき曲ごとに、そのテーマの方向性は変わると思います。
いろんな方向性があるんだな〜ということを念頭において、テーマを決めてみてください。
テーマというと、歌詞の言葉に注目しがちです。
しかし、メロディやコード進行が醸し出す雰囲気、曲調やリズムなど、曲全体で表現するものだと思います。
全てのパートで、テーマを表現するために適切なのは何か、ということを基準に曲づくりを進めていくといいと思います。
曲をつくり始める際のテーマや手順については、こちらでも詳しく書いています。
以上、参考になれば嬉しいです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。