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【作曲と編曲を分けるのはもう古い?!】作曲・編曲の違いと現代の音楽制作の考え方

  • 作曲と編曲の違いがわからない
  • 作曲と編曲に必要なスキルや制作の流れを知りたい

音楽制作に興味がある方なら、作曲と編曲という言葉はよく聞くと思います。
しかしその2つの違いをはっきりと理解していない人も多いのではないでしょうか。

また変化の激しい現代、作曲と編曲の関係は徐々に変化もしてきています。

しっかり知識を学びアップデートしていかないと、効率的で質の良い楽曲制作が難しくなってしまう危険性があります。

この記事では、作曲と編曲の違いやそれぞれに必要なスキルを説明します。
また実際の音楽制作の流れと作曲・編曲の役割についても解説していきます。

さらに現代の音楽制作で作曲と編曲の関係性がどう変化してきたのか、現代において作曲と編曲両方できないと曲を作れないのかなどの疑問についても触れていきたいと思います。

この記事を読むことで、作曲と編曲の違いや音楽制作でのそれぞれの役割と流れがわかります。
また現代における作曲と編曲の役割と音楽制作の流れを知ることができます。

作曲と編曲の違いを理解することで、自身の音楽制作のブラッシュアップにつながるだけでなく、他のミュージシャンとのコラボレーションをスムーズに行うために役立つ知識を得ることができます。

結論として作曲と編曲の違いとは、以下の通りです。

  • 作曲
    :メロディを作り、コード進行を決める
  • 編曲
    :曲の詳細設定を決め、メロディ以外の伴奏を作る

作曲と編曲の関係性を音楽制作の流れに当てはめると、以下のようになります。

作曲の担当
①メロディーを作る
②コード進行を決める
編曲の担当
③詳細設定を決める
④伴奏を作る

また現代の音楽制作の流れは、以下のような流れに変化してきています。

作曲の担当
①メロディーを作る
②コード進行を決める
③デモを作る
編曲の担当
④アレンジを整える

詳細については、本文で詳しく説明します。
作曲と編曲の違いを理解して、よりクオリティの高い音楽制作をしていきたい方はぜひ参考にしてみて下さい。

このブログでは、約15年の作曲活動でゲーム音楽などへの楽曲提供も行ってきた、
シンガーソングライターのSRM.が、これまでの活動の経験をもとに、
作曲や音楽活動の悩みを解決するのに役立つ知識や情報を発信しています。
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作曲と編曲の違い

作曲と編曲の違いは以下の通りです。

  • 作曲
    :メロディを作り、コード進行を決める
  • 編曲
    :曲の詳細設定を決め、メロディ以外の伴奏を作る

作曲は曲のメインとなるメロディを作ります。
またメロディを支えて曲のハーモニーを決定するコード進行も作曲の段階で決定することが多いです。

編曲が担当するのは、メロディ以外を引き立てるための伴奏を作ることです。
作曲で決定したコード進行をもとに、メロディ以外のほとんど全ての音を作っていきます。

伴奏の内容としてはドラムなどのリズムパターンを考えることやコードをどんなふうに鳴らすかというボイシングを決めたりします。

またメロディを引き立たせるためのオブリ(サブメロディのようなもの)を作ることなどがあります。

【ボイシングについて詳しくは、こちらの記事を参考にしてください】
同じコードを違う響きに聴かせられるボイシングの話

編曲での詳細設定とは


編曲では伴奏を作る前の重要な作業として、曲の詳細設定を決めるというのがあります。
詳細設定とは、以下のようなものです。

  • キー
  • テンポ
  • 展開
  • 音色

このほかにもその曲のジャンルや基本となるビート(リズムパターン)を決めておく場合もあります。

ちなみに展開とは、1番と2番の間に間奏を入れるかどうかやギターソロをどこに入れるかなどの曲の構成のことです。

また音色とはギター・ベース・ドラムなど、伴奏に使う楽器の種類を決めるということです。
リバーブやディストーションなど、エフェクトの設定も音色の決定に含まれます。

作曲・編曲に必要なスキル

作曲と編曲に必要なスキルは実はあまり変わりません。
どちらとも以下のようなスキルが必要になります。

  • 音楽理論
  • 発想力
  • アウトプット力

作曲と編曲では必要なスキルに違いがあるというより、スキルの使い方に違いがあるといえます。
順番に説明していきたいと思います。

音楽理論


作曲・編曲どちらとも、音楽理論の知識を土台にしないとクオリティ高い曲を完成するのが難しくなります。

特に作曲については作るだけなら鼻歌などで誰でも簡単にできてしまうため、音楽理論の重要性を理解しづらいです。

しかしどんなメロディがいいメロディなのか理論的に説明できたり、いいメロディを実際に作れるようになるには理論的な裏付けも大変重要になってきます。

またメロディにコード進行をつけるためには、最低限の音楽理論の知識が必要になります。
知識ゼロの状態では感覚だけに頼ることになるため、とても非効率な作業になってしまいます。

また編曲の作業では、たくさんの楽器を同時に鳴らしても調和のとれるフレーズを考えなければいけません。
そのためには、音楽理論の知識はマストになります。

【音楽理論を身につける方法については、以下の記事を参考にしてください】
独学で音楽理論を学ぶために知っておくべき5つのこと~オススメの学習方法を紹介

発想力


知識だけでは曲を完成することはできません。
発想力とは、以下のような内容をまとめて新たな表現を生み出す力のことです。

  • 感受性
  • アイデア
  • ストック

曲作りは表現することの一つの形なので、曲のテーマや歌詞の内容から情感を感じ取る感受性が必要になります。

また感じとったものをどんな形式で表現するか、というアイデアも思いつかなければなりません。

アイデアが思いつくためには他のアーティストのさまざまな既存曲を聴き込み、その表現方法を自分の頭の中にストックとして記憶しておく必要があります。

【アイデアの発想については、こちらの記事も参考にしてください】
無意識がアイデアを生み出してくれるようになる。エウレカモーメントの手順をご紹介!

アウトプット力


アウトプット力とは、音楽理論や発想力を使って頭に浮かんだ音楽を実際に音として現実に落とし込むための力です。

以下のようなものが考えられます。

  • 作業手順や方法論
  • ツールを使いこなす技術
  • 音楽を共有する力

作業手順や方法論とは、作曲や編曲作業を実際にどんな順番でどのように行うかというマニュアルのようなものです。

作業方法はミュージシャンごとにさまざまですが、実際に作曲や編曲の経験を積んでいく中でそれぞれの頭の中に積み上げられていくスキルになります。

【作業手順や方法論について、最初のとっかかりに悩んでいる方はこちらの記事を参考にしてください】
【作曲のやり方】初心者に最適な手順7ステップを解説!
初心者向け編曲のやり方9ステップを解説【実際の編曲作業を公開】

ツールを使いこなす技術とは、DAWなどのPCによる操作の知識や楽器の演奏技術のことです。
頭に浮かんだ音楽を実際の音として存在させるために必要なスキルです。

音楽を共有する力とは、音楽製作に関わる他のミュージシャンやエンジニアに、自分の創作した音楽やその音楽の創作意図を理解してもらうためのスキルです。

音楽制作の現場では、譜面でのやり取りが基本になります。
自分の作った音楽を譜面に起こす技術や、他の音楽家が作った譜面を読み解く力が必要になってきます。

【アウトプットについては、こちらの記事も参考にしてください】
【モチベーションを保つには?】インプットとアウトプットをコントロールする話

スキルの使い方の違い


以上説明した3つのスキル、音楽理論・発想力・アウトプット力について、作曲と編曲ではその使い方が異なります。

作曲の場合は3つのスキルを、少ない要素で豊かな表現をするために使っていきます。

作曲のメインであるメロディは、12音とリズムの組み合わせという限られた要素で作り上げなければなりません。
要素が少ないので一見すると素人でもできてしまうように思われます。

しかし要素が少ないということは、説得力あるハイクオリティなものを作るのが難しいことを意味します。
この難しさに取り組むために、3つのスキルが必要になってきます。

編曲の場合は逆に、取り扱う要素が多岐に渡ります。
たくさんの楽器でリズムやフレーズを考えなければなりません。

編曲では多様な要素を統合して調和の取れた音楽を作るために、3つのスキルを使って取り組んでいきます。

作曲・編曲と音楽制作の流れ

では作曲と編曲について実際の音楽制作の流れに当てはめながら、それぞれの役割についてみていきましょう。

ここではボーカル入りのポップス制作という想定で、一般的な制作の流れをみていきます。
下の表は、音楽制作の流れと担当する音楽家を表したものです。

音楽制作の流れ

ちなみにこの表では「作詞→作曲→編曲」という順番で制作の流れを書いていますが、作詞と作曲の順番は逆になることもよくあります。

【作り方の順番の詳細については、こちらの記事をご覧ください】
作詞と作曲はどっちが先がいいのか【初心者にオススメの方法とは】

まず作詞家が作った歌詞をもとに、作曲家がメロディーとコードを決めていきます。

その後メロディーとコードを受け取った編曲家が、曲の詳細設定を考えていきます。
上の表の4~7の項目か詳細設定にあたります。

ボーカリストがもっとも良く歌えるキーを選択し、作曲家が作ったメロディがもっとも良く表現されるテンポを決めていきます。

さらにイントロ・間奏・ソロ・アウトロなど、その楽曲に必要と思われる曲の展開を考えていきます。
全体の展開が決まったら、使用する楽器や音色を決めます。

ここまで決まったら、伴奏のリズムやフレーズを考えていきます。
全ての楽器について、全体の調和をとりつつ展開に沿うようなフレーズを作っていくことになります。

【編曲作業の詳細については、こちらの記事で詳しく説明しています】
初心者向け編曲のやり方9ステップを解説【実際の編曲作業を公開】

作業の分量は編曲の方が多いので、一見すると編曲家の方が負担が大きいように見えます。
しかし楽曲の基礎はあくまで作曲家が作ったメロディにあります。

作曲が良くないと、いくら編曲を良くてもいい曲になりません。
クオリティーの低いメロディを作ってしまうと、いくら編曲でカバーしようとしても難しいです。

そう考えると、作曲家のメロディ作りも編曲家と同じぐらい重要性が高く大変なものになります。
質の高い楽曲は、作曲と編曲の相乗効果によって生まれるものなのです。

現代の音楽制作と作曲・編曲

以上見てきた音楽制作の流れですが、現代の音楽制作においては少し変化が見られています。

現代はテクノロジーの発達によって、 パソコン1台で音楽制作のほとんどを1人でできるようになりました。

パソコン上での音楽制作を「DTM(デスクトップミュージック)」といいますが、DTMによって作曲と編曲の関係性にも変化が生じてきました。

下の表は、現代の音楽制作の流れと作曲・編曲の関係性を表したものです。

音楽制作の流れ(現代)】

表を見ると、編曲家の仕事であった「キーを決める」~「伴奏を作る」までが作曲家の方へ移っていることがわかります。
そればかりか、演奏や録音までが作曲家の仕事へ含まれています。

これはDTMの発達によるもので、作曲から編曲と演奏・録音までを1台のパソコンでできるようになったことによるものです。

これによって作曲家が楽曲の完成形をほぼ仕上げてデータにして編曲家へ渡す、というのが普通に行われるようになってきました。

ここで作曲家が作り上げたが楽曲データのことを「デモ」と呼んだりします。

編曲家は作曲家が施した編曲が楽曲の意図(プロデユーサーの意向など)により合ったものになるように、編曲の修正や打ち込まれたフレーズの修正を行っていきます。

ここで大幅に編曲が変わり編曲家が1から編曲を行う場合もありますが、基本的には作曲家が作ったデモをベースに編曲をしていくことになります。

このような音楽制作のメリットとしては、作曲家が自分で曲のイメージを正確に編曲にまで反映させられることやボーカル以外の演奏家とエンジニアによる演奏・録音の作業を省くことができる(生楽器を使用しない場合)ことなどがあります。

逆にデメリットとしては作曲家の担当する作業が増えたことにより、作曲家に求められるスキルが大幅に増えたことがあります。

編曲や演奏・録音まで豊富なスキルを持つ作曲家は自分の実力を存分に発揮できるようになりましたが、メロディとコードのスキルに特化した作曲家は厳しい立場に置かれることになりました。

さらに現代では、作曲家が編曲家を兼ねることがかなり多くなっています。

上の図で行けば、「デモを作る」の後にすぐにボーカル録音に移りミックス~マスタリングをすれば完成、という流れです。

関わる人数が少ない分スピード感のある制作が可能で、変化の激しい現代に合った制作方法ともいえます。

両方できないとダメなのか

では現代の作曲家は、編曲も演奏も録音もできないとダメなのでしょうか?
答えは「No」です。

メロディとコードさえ作れてしまえば編曲や演奏・録音に関しては、他の人に頼むという手があります。

例えば、メロディ・コードが得意な人と編曲が得意な人と演奏・録音が得意な人の3人で作曲家チームを組むのも一つの手です。

こういった作曲手法は「コライト」と呼ばれ、欧米のポップスミュージックの制作では当たり前に行われています。

チームを組むまでは行かなくても、自分の不得意な分野に関してはインターネットを使えばクラウドソーシングなどで他の人に簡単に依頼することができます。

例えばインターネット上で様々なスキルを売り買いできるココナラ というサービスがあります。
ココナラで「作曲」と検索すると作曲や編曲、ミキシングなど様々なクリエーターを見つけることができます。

ココナラのクリエイターに依頼する

ただし、作曲家として編曲から演奏・録音のスキルがあるに越したことはないのも事実です。

音楽制作の作業を一通りこなすことができるということは、それだけ曲の中に自分の意図する一貫した表現を反映させていくことができます。

また音楽制作の現場において、重宝される作曲家となるのは間違いありません。

作曲・編曲から演奏・録音までをこなせる音楽家を目指していくのが、現代のミュージシャンの理想的な形なのかもしれません。

まとめ

この記事では、 作曲と編曲の違いやそれぞれに必要なスキルを説明しました。
作曲と編曲の違いは、以下のようなものです。

  • 作曲
    :メロディを作り、コード進行を決める
  • 編曲
    :曲の詳細設定を決め、メロディ以外の伴奏を作る

作曲と編曲に必要なスキルは共通して、以下のようなものです。

スキルの使い方の違いとして、作曲では少ない要素で豊かな表現をするために使い、編曲では多様な要素を統合して調和の取れた音楽を作るために使うという違いがあります。

実際の音楽制作の流れと作曲・編曲の役割については以下の表のようになります。

音楽制作の流れ

現代の音楽制作での作曲と編曲の関係性として、以下の表のように変化してきていることを解説しました。

音楽制作の流れ(現代)】

現代のミュージシャンにとって作曲と編曲両方のスキルが不可欠とは限らない、ということも解説もしました。

またコライトやクラウドソーシングで他の音楽家と一緒に楽曲を作り上げていく方法などについて触れました。

ただし両方できることに越したことはないため、作曲と編曲の両方のスキルを高めていくことが重要になります。

作曲や編曲に関する知識については、以下の記事でも詳しく説明しているので参考にしてください。

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最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


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管理人SRM.のプロフィール

シンガーソングライター/音楽活動歴約15年

メジャーレーベル歌手のレコーディング参加や大人気太鼓系ゲームへの楽曲提供あり。

作曲テクニックや音楽理論、音楽活動の悩みを楽にするテクニックについて発信しています。

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