この記事を読むとわかること
- メロディがカッコよくならない原因となる、7つの初心者あるある
- それぞれの初心者あるあるに対処するためのテクニック
オリジナル曲を作ってはみたけど、どうもメロディがしっくりこない、カッコよくない、、
作曲をしたことがある人なら誰しも経験があると思います。
この記事では、メロディ作り初心者が陥りがちな失敗あるあるを紹介します。
そして、どうすればそのあるあるを避けることがてきるかの対処法についても説明していきます。
メロディは曲の顔ともいえる重要な要素なので、しっかり考えてつくらないとすぐにダサい曲になってしまいます。
この記事を読むと、失敗あるあるを回避するチェックポイントを理解できます。
是非、あなたの曲のブラッシュアップに役立てていただければ思います。
このブログでは、約15年の作曲活動でゲーム音楽などへの楽曲提供も行ってきた、
シンガーソングライターのSRM.が、これまでの活動の経験をもとに、
作曲や音楽活動の悩みを解決するのに役立つ知識や情報を発信しています。
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メロディがカッコよくならない作曲初心者あるあるは、以下の7つです。
- あるある①:休符がない。
- あるある②:メロディの種類が少ない。
- あるある③:メロディのリズムがジャンルに合っていない。
- あるある④:モチーフがない。
- あるある⑤:いつもドアタマからメロディを始めている。
- あるある⑥:聴き手を驚かせる部分がない。
- あるある⑦:テーマを表現するためのメロディになっていない。
順番に解説していきます。
作曲初心者あるある①:休符がない
まず一つ目のあるあるは、曲の中にメロディを詰め込みすぎるという失敗です。
例えば、4小節のメロディがあるとしたら、4小節目の4拍目ギリギリまでメロディが鳴っている、というような感じ。
これだと息継ぎがなくて歌いづらいし、聴く人もメロディを覚えるのが難しく、耳に残らない曲になりがちです。
対処法
メロディ後半に休符を入れることを意識しましょう。
例えば、メロディが4小節あったら4小節目後半とか、もっといえば3小節目後半ぐらいから4小節目も全部休符というくらいでもいいかもしれません。
メロディの後に休符があると、リスナーがメロディを理解し、覚えるための時間的な余裕が生まれます。
これが、休符の全然ないメロディだと、次々に音が耳に入ってくるので、どんなメロディだったか余韻に浸る間もなく過ぎ去ってしまいます。
メロディを作るときは、休符も含めて考えるようにしてみましょう。
実例
実例を作ってみました。次の例を聴き比べてみて下さい。
上が休符が意識されてないメロディ。
下は上のメロディを休符を意識して作り直した例です。
下の方が、すっきりしていて覚えやすいメロディになっていると思います。
作曲初心者あるある②:メロディの種類が少ない
メロディーには大まかに分けて以下の3つの種類があります。
A:リズマイズド(Rythmized)
B:スケールワイズ(Scale-wise)
C:リープ(Reap)
Aはメロディの音程はほぼ動かずに、リズムが細かく動くパターン。
Bは音の変化がおおむね1音以内で上行したり下降したりするパターン。
C は音の変化が2・3音以上あるパターン。
例えば以下のようなカタチです。
Aは音程の変化がほぼなく、リズムが細かく動いています。
Bはすべての音が1音以内で次の音へ移動するメロディーになっています。
Cはすべての音が2音以上動いて次の音に移動しています。
初心者が陥りがちな失敗あるあるは、これらのメロディーを使い分けず、どれか1つの種類だけでメロディーを作ってしまうことです。
似たような動きのメロディーばかりになってしまうため、単調な印象の曲に仕上がってしまいます。
対処法
3つのメロディーを1場面ごとに使い分けるようにしましょう。
特に、AメロやBメロなど各セクションが変わるごとに、使うメロディーの種類も変えていくと効果的です。
例えば、Aメロはリズマイズドで作り、Bメロはリープで作る。そして、サビはスケールワイズで作る。
など、場面によってメロディーの種類を変えていくと効果的です。
使うメロディーの種類を変えていくことで、場面の転換がリスナーにはっきりと伝わるようになります。
また、メロディーが単調になることも避けられるので、印象に残る曲にすることができます。
実例
(AメロとBメロの2つのセクションの構成になっています。)
上のメロディーは3つのメロディーの種類を意識せずに作った曲です。
AメロもBメロもスケールワイズを中心にしたメロディになっています。
下は、上のメロディーを作り直したもの。
Aメロをリズイズマイズドで作り直しています。
下の方が各セクションの違いが鮮明になり、場面転換がより明確な曲になっていると思います。
作曲初心者あるある③:メロディのリズムがジャンルにあっていない
音楽ジャンルによってフィットするメロディとそうでないメロディがあります。
初心者あるあるのひとつに、曲の伴奏とメロディとでジャンル感が全く違うものを合わせてしまっているのいうのがあります。
例えば、R&Bで16ビートのノリの曲なのに、メロディに16分音符のリズムが全く使われていない、
子供向けの童謡なのに、16分音符の細かいリズムを多用したメロディにしてしまっている、など。
伴奏のリズムとの兼ね合いや、その曲がどんな目的で聴かれるかによって、どんなメロディを合わせるとよいかが変わってきます。
対処法
楽曲のジャンルにあったメロディを意識しましょう。
ジャンルに合ったメロディをつくるポイントは、そのジャンルのリズムをメロディ取り入れることです。
例えば、
- R&Bやsoul系なら16分音符を多用する。
- ポップスやロックなら8分音符中心につくる。
- 童謡なら4分音符中心につくる。
- サンバやボサノバならフォークリズム※を多用する。
などなど。
※フォークリズムとは「♪タタータ」というリズムの形のこと。ラテン系の音楽ジャンルで多用されます。
譜面で書くとこんな感じのリズムです。
ジャンルのリズムをメロディに取り入れるには、さまざまなジャンルを聞き込み、ジャンルごとのリズムの特徴を理解することが大切です。
ジャンルごとのリズムを聴き込む際は、Amazon Music.などのストリーミングサービスがオススメです。
ジャンル別プレイリストを利用して、リズムの引き出しを増やしていきましょう。
実例
この実例では、R&B系のジャンルの曲を意識して実例を作っています。
上がジャンルを意識せずに作ったメロディ。
下がR&B系を意識して、16分音符を中心に上のメロディを書き替えたものです。
上はシンプルでわかりやすいですが、R&Bっぽいかというと微妙です。
下の方が伴奏のリズムとメロディがマッチしていて、耳に入ってきやすい統一感のある曲になっていると思います。
ちなみに、メロディのリズムでジャンルに合わせる方法の他にも、スケールをジャンルによって変える方法もあります。
【詳細はこちらの記事で解説しています。】
・メロディでジャンル感を表現する方法
作曲初心者あるある④:モチーフがない
モチーフとは、メロディを作り上げる部品のようなものと思ってもらっていいと思います。
イメージしやすいのは、ベートーヴェンの「運命」。
「タタタターン!」というあれです。
「タタタターン!」をいくつも組み合わせることで、曲全体のメロディを作り上げています。
モチーフを前提にしないメロディは、とりとめなく、つかみどころのない印象になりやすいです。
中心となるモチーフがないため、主張の弱いメロディになりがちです。
【モチーフについて詳しくはこちらの記事に書いています。】
・曲作り初心者は作曲するとき何から手をつければいいか
対処法
モチーフからメロディを発展させるように作ってみましょう。
モチーフを次々とつなげたり、他のモチーフと組み合わせたり、省略したり、様々に変形させて曲全体のメロディを作っていきます。
モチーフをもとにメロディを作ることで、各パートのメロディに統一感を持たせることができます。
その結果、締りのある楽曲に仕上げることができます。
また、全然に統一感を持たせることで、覚えやすい曲にもなります。
メロディを作るときは、まずモチーフを何にするかを決めて、そこからメロディを発展させていくように考えてみましょう。
【モチーフからメロディへ発展させるテクニックについてはこちらの記事で解説しています。】
・【曲作りに役立つ】なるべく簡単なメロディでいい曲を作るための方法
実例
上がモチーフを考えずとりとめなく作ったメロディ。
下がモチーフを発展させて作ったメロディです。
下のメロディのモチーフはこれです。
下の譜面で赤い線で示した箇所が、モチーフをそのまま使っている部分です。
青の箇所は、モチーフを反転させてメロディに用いている部分。
緑の箇所は、モチーフを倍の長さにしてメロディにしています。
各モチーフの音程は適宜変更しています。
また、2小節目はモチーフとモチーフの反転をタイでつないで変化を出しています。
モチーフを用いたメロディのほうが、締まりがあり耳に残りやすいメロディになっているかと思います。
作曲初心者あるある⑤:いつもドアタマからメロディを始めている
ドアタマとは、フレーズの最初の1拍目のこと。
メロディの始まりを伴奏の始まりとかっちり合わせすぎてしまうのも、初心者あるあるのひとつです。
メロディが始まる位置は曲の印象に大きく影響します。
メロディが始まる位置をいつも伴奏の始まりと一緒にしてしまうと、単調な印象の曲になってしまいます。
特にドアタマにばかり合わせてしまうと、単純なメロディになりやすく、カッコよくならない原因になりやすいです。
対処法
メロディが始まる場所を意識しましょう。
小節の1拍目ちょうどから始まるメロディばかりになっていないかチェックしましょう。
例えば、2拍目のウラからメロディを始めてみる(下記実例の②−1)とか、前の小節の4拍目のウラから始めてみる(下記実例の②−2)とか。
同じメロディでも、始まりの位置を変えるだけでメロディ全体のノリが変わり、印象が違ったものになります。
ドアタマで始まるメロディは、メロディをストレートに伝えたいときなど、ここぞという時に使うと効果的です。
いづれにしても、始まりの位置が同じメロディばかりになっていないか、気を配ることが大切だと思います。
実例
上はドアタマから始まるメロディです。
下の②-1は、2拍目のウラから始まるメロディに書き替えた例。
②-2は、前の小節の4拍目ウラから始まるメロディに書き替えた例。
同じメロディでも、印象が変わって来るのがわかると思います。
作曲初心者あるある⑥:聴き手を驚かせる部分がない
一聴するとキレイに作られているようなメロディでも、なんだかカッコよくない、味気ない、というようなメロディがあります。
その原因は、聞き手を驚かせる部分がないことかもしれません。
これも、初心者が陥りやすいあるあるのひとつです。
聴き手を驚かせるとは、聴き手の注意を引くような個性的な要素がメロディにあるか、ということ。
かっこいいメロディを作るためには、聴き手にいい意味での違和感を抱かせることによって、聴き手の印象に残るメロディに仕上げることが大切です。
これを意識せずにキレイに作ることばかりを考えて、耳に残らない単調な曲になっていしまうことはよくあります。
対処法
聴き手の注意を引くテクニックとして、ここでは3つ例をあげます。
- ブルーノート
- ポリリズム
- 大きな跳躍
ブルーノート
ブルーノートについては、こちらの記事で解説しています。
スケール上の3度の音を♭3度にしたり、7度の音を♭7度にすることによって、独特の雰囲気を作ることができます。
通常の音階の中にさりげなくブルーノートを混ぜることで、聴き手の注意を引くポイントが作れます。
ポリリズム
2つの拍子が同時に存在する状態のことを、ポリリズムと言います。
例えば、4拍子の伴奏に3拍子のメロディを合わせるとポリリズムを作ることができます。
2つの異なった拍子が、なんとも言えない違和感を作りだし、聴き手の注意を引くことができます。
【参考】
ポリリズムといえば有名なのは、Perfumeさんの「ポリリズム」という曲。
1:37あたりからの「ポリリズム〜♪」を連呼するところ。
4拍子の伴奏に、5拍子のメロディを乗せています。
大きな跳躍
音程が大きく飛ぶようなメロディも聴き手の注意を引くメロディになります。
おおむね6度(ドの音から見るとラの音)以上の音程差があると、大きな跳躍のあるメロディと言えると思います。
音程が大きく変わることで、劇的な変化を演出することができます。
場合によっては、1オクターブやそれ以上の跳躍を用いることで、強烈な印象を与えるメロディに仕上げることができます。
ただし、音程差が開けば開くほど歌うのが難しくなるため、歌い手の力量が必要になってきます。
【参考】
大きな跳躍を効果的に使っている例です。
Official髭男dismさんの「 I LOVE…」
1:00あたりの「高まる愛の中〜♪」の「愛」の音程は前の音から、なんと9度も(ラの音から1オクターブ上のシ)跳躍しています。
バッチリ聴き手の心を掴んでいる素晴らしい例だと思います。
実例
上が注意を引く部分がないメロディ。
下が注意を引くための3つのテクニックを入れて書き替えたメロディ。
明らかに、下の方が個性的で耳に残るものになっていると思います。
下の譜面で赤い矢印で示したところにブルーノートを用いています。
青で示した箇所は、ポリリズムです。4拍子の伴奏に3音で1かたまりの上行メロディを合わせています。
緑の矢印は大きな跳躍です。7度の音程で跳躍しています。
ここでは、あえて上で紹介した3つのテクニックを全て使いましたが、通常はどれか1つ入っていれば十分注意を引く部分になるかと思います。
3つ全て使うと上の実例②のように、やややり過ぎな感じになってしまうこともあるので注意してください。
作曲初心者あるある⑦:テーマを表現するためのメロディになっていない
今までいろいろと初心者あるあるの対処法について書いてきましたが、この7個目のあるあるが最も根本的な失敗例です。
メロディの役割は、楽曲のテーマをより鮮明に表現することです。
この役割を忘れてテクニックに走ってしまうことが、一番まずい失敗だと言えるかもしれません。
あなたの作ったメロディは、伝えたい景色を聴き手に思い浮かべさせることができるでしょうか。
【こちらの記事も参考にしてみてください。】
・【勉強してる人ほど危険!】テクニックに溺れた曲をつくっていませんか?
この記事で書いてきた対処法やテクニックも全て使えばOKというわけではありません。
楽曲のテーマに必要なものを、表現に必要な範囲で使っていくことが重要です。
そのためには、自分の美学やセンスを日々磨くことが重要だと思います。
客観的に判断するために
最後に、初心者あるあるを防ぐために、どうやって自分のメロディを客観的に判断していけばいいかについて書きたいと思います。
まずひとつめは、選り好みせずたくさんのジャンルの曲、様々な年代の名曲を聴き込むこと。
これによって音楽の経験値が上がり、メロディを判断する力量がアップしていくと思います。
次に、ひたすらたくさんの曲を書くこと。
やはり、インプットだけではスキルは上がらないので、実践を重ねること、アウトプットし続けることが重要になります。
【インプットとアウトプットについてはこちらの記事を参考にしてください。】
・【モチベーションを保つには?】インプットとアウトプットをコントロールする話
そして一番いいのは、第三者に聴いてもらって意見をもらうことです。
音楽仲間でも先生でも、友達や家族でも構わないと思います。
自分以外のフレッシュな目線で吟味してもらうことが一番客観的に見れる方法だと思います。
周りに聴いてもらえる人がいないよ!という人は、書籍などに書いてある意見や知識を自分のメロディに照らし合わせて見て考える、という方法もあります。
オススメの本としては、こちら。
メロディに関する本はクラシック音楽を前提にした本が多い中、こちらの本のようにポピュラーミュージックを前提にした内容になっているものはあまりなく、とても参考になる書籍です。
このブログで書いてきたテクニックについても、かなり詳しく書いてくれているものもあるので、気になる方は是非読んでみてください。
ちなみに、kindle unlimitedでも読めるのでお得です。
まとめ
この記事では、メロディ作り初心者が陥りがちな失敗あるあるとその対処法を紹介してきました。
- あるある①:休符がない。
→対処法:後半に休符を入れる。 - あるある②:メロディの種類が少ない。
→対処法:3種類のメロディを使い分ける。 - あるある③:メロディのリズムがジャンルに合っていない。
→対処法:たくさんのジャンルを聴き込む。 - あるある④:モチーフがない。
→対処法:モチーフの発展の仕方を学ぶ。 - あるある⑤:いつもドアタマからメロディを始めている。
→対処法:始まりの位置をズラす。 - あるある⑥:聴き手を驚かせる部分がない。
→対処法:ブルーノート・ポリリズム・大きな跳躍などをさりげなく使う。 - あるある⑦:テーマを表現するためのメロディになっていない。
→対処法:自分の美学やセンスを磨く。
あなたの曲作りの助けになれば幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。