歌もののオリジナル曲制作でキモになるのが歌詞です。
言葉の意味や響き・ストーリー性など、さまざまな角度から考えて作り上げていかないといけません。
なかなか知恵とテクニックが必要なこの作業。
歌詞を書くときに注意すべきことについて、いくつか書いてみたいと思います。
単語の力
歌詞でもっとも重要なことのひとつが、単語選びです。
歌詞の中での単語は2つの意味を持っていると考えています。
ひとつは文字通り、辞書的な意味です。
その単語が指し示すものですね。
もうひとつは、その単語から感じ取れる背景や風景・ストーリーなどです。
例えば、「夜景」という単語を例に取ります。
「夜景」を辞書で調べると「夜の景色。夜の眺め。」と書いてあります。
確かにその通り。これがひとつ目の意味ですね。
しかしもうひとつ、「夜景」と聞いたときに思い浮かべる風景が人それぞれにあると思います。
この風景が「夜景」のもうひとつの意味です。
人によっては、誰々と見た夜景とか、失恋の夜に見た夜景とか、上京した日に見た夜景とか、思い浮かべる夜景のウラにある物語も一緒に思い浮かべるかもしれません。
そういったストーリーひとつひとつも、広い意味で「夜景」のもうひとつの意味に含まれています。
その単語が感じさせる風景やストーリーを意識しながら歌詞の単語を選ぶことで、深みのある歌詞を書くことができると思います。
思い浮かべる風景やストーリーは人それぞれですが、ある程度つくり手の感覚を重視して進めていいと思います。
それを聴き手に感じさせられるように、他の歌詞や音楽で表現していくのもまた、曲づくりの面白いところです。
音韻
ここでいう音韻とは、言葉の響きのことです。
言葉はその響きによって受けるイメージが変わってきます。
具体的には、子音が何かによって感じる印象が変わるということです。
例えば、子音がkやtの言葉は、勢いや鋭さを感じます。
gやjの言葉は堅い感じや汚い感じを受けます。
pやbは楽しさとかパワフルさを感じます。
などなど、子音によって耳に残るイメージが変わります。
上の例の単語をいくつか挙げると、「活発」・「頑丈」・「わんぱく」などでしょうか。
先ほど書いた単語が持つふたつの意味に加えて、響きの印象も考えながら言葉を選んんでいくと、より統一感のある歌詞になると思います。
感情を描くか事実を描くか
歌詞を書くときの大きな流れとして、感情を書くか事実を書くか、というのがあります。
感情というのは、物語の登場人物が感じた内容です。
心の内面の描写ですね。
事実というのは、風景の描写です。
誰がどんな行動をしたとか、どんなことが起こったとか、外の世界の出来事のことです。
このふたつを分けて考えると、メリハリのある歌詞になりやすいです。
Aメロは風景の描写→Bメロは登場人物の行動→サビは登場人物の感情。
などとセクションごとに分けて展開していくとまとまりのある歌詞になり、聴き手も曲に入り込みやすくなります。
この書き方が上手くなるコツは、普段の生活から自分に起こることを事実と感情に仕分ける癖をつけておくことです。
例えば、仕事でミスをして上司に怒られたとします。
「君は〇〇を間違えた。もう何回言っても直らないなぁ。だからダメなんだよ。」
とか言われてヘコんだ、ということがあったとしましょう。
この出来事を事実と感情に分けるとこんな感じです。
事実:(私は)仕事でミスをした。(私は)何回もミスをした。(上司は)私を怒った。
感情:(私は)ヘコんでいる。(上司は)私はダメなやつだと思っている。
この訓練を重ねることによって、事実と感情をしっかり書き分けられるようになると思います。
ちなみに、これが普段の生活からできていると、確かなこと(事実)と不確かなこと(感情)を切り分けて考えられるので、自分の感情や他人の思い込みに振り回されなくて済むようになります。
チャレンジングなほど楽しい
今回は、歌詞を書くときの考え方について色々な視点から考えてみました。
言葉は意味がはっきりしている分、もしかしたらメロディやハーモニーを考えるより難しいかもしれませんね。
チャレンジングな創作ほど楽しくのめり込めるものです。
この記事が皆さんにとって、素敵な歌詞を書く手助けになれば嬉しいです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。