普段、音楽をつくったり音楽活動をしているみなさんは、誰のためにその活動をしているでしょうか?
自分の音楽は、誰のためにつくろうとしているものなのか、常に意識しているでしょうか?
今回は、誰に向けて音楽をつくるのかという視点について考えを書いてみたいと思います。
自分の役に立つ音楽
音楽体験の1番初めは、誰しもこれだったと思います。
聴いていて楽しいから、演奏できて嬉しいから、曲をつくってみて達成感があるから。
自分の役に立つ音楽は、音楽の純粋な楽しさを思い出させてくれます。
自分の思う通りに自由にワガママにつくる。
自分を癒すための音楽は、いつまでも大切なものです。
一般的にこの種類の音楽は、趣味の音楽と呼べるかも知れません。
楽しければOK。自分が良ければOK。
これほどピュアな音楽はないかも知れません。
人の役に立つ音楽
自分の役に立つ音楽とは対照的に、人の役に立つ音楽という視点があると思います。
自分のつくった音楽で他の人を感動させたい、というような想いから生まれる音楽です。
悲しんでいる人を励ます音楽をつくりたい、聴いた人がハッピーになる曲を届けたい、寂しさに寄り添うような歌を聴かせたい。
などなど、想いは人それぞれですが、音楽の目的が他人に向かっていることが、自分のための音楽と大きく違うところです。
このような音楽をつくるためには、自分がいいと思うものをつくるという考えよりはむしろ、聴く人が何を求めているかということを常に意識する必要があります。
決して独りよがりではいけない訳です。
メロディは覚えやすいか、和音は複雑すぎないか、歌詞のメッセージに違和感を覚えさせないか。
創作の全ての段階で、届けたい相手を意識し続ける必要があります。
音楽の役に立つ音楽
自分のいいと思うものを突き詰めるという意味では、自分の役に立つ音楽と同じです。
しかしその目的は、自分の楽しみというよりは、新しい表現の可能性を切り開きたいという想いにあるのが、音楽の役に立つ音楽です。
音楽という表現方法・芸術分野を発展させたいという視点で、新たな試みや斬新なアイデアをカタチにしていく、芸術家としてのスタンスですね。
音楽のための音楽をつくるには、さまざまな技法や思想的背景などをしっかりと自分の中に取り入れる必要があります。
そのうえでさらに、新たなものを生み出すという、かなり地道な行程を歩む覚悟が必要だと思います。
グラデーションとセパレーション
「自分の役に立つ音楽」と「音楽の役に立つ音楽」は、重なる部分もあることが多いです。
音楽という芸術分野の発展が自分のためにもなっている、ということもあると思います。
また、「人の役に立つ音楽」の中に「音楽の役に立つ音楽」を取り入れている場合もあります。
音楽を届けたい相手を想定しつつ、その技法として斬新なアイデアや新しい表現を使っている、というミュージシャンもたくさんいます。
それぞれの音楽は、グラデーションでつながっている訳です。
しかし、「自分の役に立つ音楽」と「人の役に立つ音楽」の間には、ある程度はっきりとした距離(セパレーション)があると思います。
音楽を届ける相手を想定し、その人の役に立つにはどうしたらよいかを考えて音楽をつくるのと、自分のいいと思うものだけを追求するのでは、つくるときの視点が全く異なってくると思います。
どの視点が良い悪いということはありません。
自分の人生がより良くなる視点を選んで音楽を楽しんで行ければよいのだと思います。
今度、音楽をつくるときは「自分は今どの視点で音楽をつくろうとしているのか」を意識してつくってみるといいかもしれません。
以上、参考になれば嬉しいです。
最後まで読んで頂きありがとうございました。