初めて聴く曲を途中から聴く人はあまりいないと思います。
最初に鳴らされる音は、その曲と聴き手の出会いの場所です。
人との出会いと同じで、最初に耳に飛び込んでくる音が与える印象は、曲全体の印象にかなりの影響を与えます。
ストリーミングサービスの利用が当たり前になった現代。
気に入らなければどんどん曲をスキップされてしまうので、最初の音の重要性はこれまで以上に高まっています。
ここでは、最初に鳴らすコードによって曲の印象がいろいろ変わるよね、ということを具体的なコード進行も出しながら書いてみたいと思います。
ダイアトニックコードのかたより
一般的な曲のコード進行に使われる、ダイアトニックコードで考えてみます。
(ダイアトニックコードについて詳しくは、こちらの記事をご覧ください。)
世の中の様々な曲を見渡してみると、どのダイアトニックコードがどのくらい最初のコードに使われるかは、コードによってかたよりがあるようです。
※ ここではわかりやすいように、全てキーがCの場合で表記していきます。
1番使われるのが、CM7・Am7
次が、FM7・Dm7
たまに、Em7
ごくまれに、G7
ほとんどないのが、Bm7(♭5)
といった具合です。
使われる頻度が多い順に、そのコードの印象や具体的なコード進行についてみてみましょう。
トニックのCM7・Am7
最初のコードとして1番基本的な、CM7とAm7。
これらはそれぞれ、ファンクションでいうトニックにあたります。
ファンクションとは、そのコードがコード進行の中でどんな役割をするかを表すもの。
(ファンクションについて詳しくは、こちらをどうぞ。)
トニックのファンクションは、安定した雰囲気を醸し出す働きがあるので、最初のコードにはぴったり。
最初から不安定な雰囲気だと、どんな曲が始まろうとしているのか聴き手に伝わりづらいので、スムースに曲に引き入れることが難しくなります。
トニックの二つのコードは、最初のコードとしてはぴったり、しかし逆にいうと無難なコード、といった感じになります。
王道のコード進行にしたい場合はうってつけですね。
コード進行の例としては、もう無数にありますが、よくあるのはこんな感じ。
CM7→Am7→Dm7→G7
Am7→FM7→Bm7(♭5)→E7
(E7のコードについてはこちらをご覧ください。)
サブドミナントのFM7・Dm7
こちらのコードも最初のコードに結構使われます。
この2つのコードはサブドミナントのファンクションです。
サブドミナントは安定なトニックと不安定なドミナントの中間のファンクションなので、このコードから始めるとアンニュイな感じやオシャレな感じが出しやすいです。
最近の邦楽にはこれらのコードから始まる曲が増えている感じがしてます。
ストレートなトニック始まりの曲に飽きて、サブドミナント始まりでオシャレな感じねらっちゃおう!というミュージシャンが増えてきたのかもしれません。
よくあるコード進行はこんな感じ。
FM7→E7→Am7→Gm7
Dm7→G7→CM7→Am7
Gm7は近親調からの借用です。
(近親調のコードについては、こちらをご覧ください。)
Dm7始まりのやつは、オシャレにも持っていけるし、可愛い感じの曲にも使いやすいです。
サブドミナント始まりのコード進行はわりと万能な感じに使えるので、私もよくお世話になってます笑。
レアなコードで始まるのも面白い
さて、ここまでは最初のコードによく使われるものをご紹介しました。
これらのコードからコード進行をつくれば、わりと聴き馴染みの良い曲がつくりやすいと思います。
しかし、あえて逆にいえば無難な、普通の、面白みのない、といった曲にもなりやすいです。
あまり最初のコードには使われないもので曲を始めると、個性的な、印象に残る曲をつくれることがあります。
今回紹介しなかった残りのダイアトニックコードで始めた場合、どんな面白い効果があるのか。
次回の記事でご紹介していきたいと思います。
次回もお楽しみに。
最後まで読んでいただきありがとうございました。