このシリーズでは、様々なスケールについて解説しています。
(前回までの記事はこちら。)
いろいろなスケールを覚えて、曲づくりに役立てましょう。
今回は、HmP5b・ホールトーンについて紹介したいと思います。
(今回もキーボードで確認しながら読んでいただけると、よりわかりやすいです。)
HmP5bとは
HmP5bは、ハーモニックマイナーパーフェクトフィフスビロウと読みます。
とてつもなく長いですね笑
構成音と全音半音関係はこんな感じです。
(ドの音から始めた場合)
ド・レ♭・ミ・ファ・ソ・ラ♭・シ♭:半1.5半全半全全
1.5というのは全音1.5個分、つまり半音3つ分離れていますよ、ということです。
今までは、半音1個か2個(=全音1個)の距離のものしかありませんでしたが、スケールによっては1.5というものもあります。
HmP5bのコード
コードを導き出してみましょう。
前回までと同じように、1番低い音から1音飛ばしで重ねていきます。
すると、
ド・ミ・ソ・シ♭
となり、ドミナントセブンスコードが現れました。
コード表記はC7ですね。
テンションを考えましょう。テンション音として使えるのは、
スケール上の音で、、
①コードトーンの間にある音
②前の音と全音以上はなれている音
でした。
(テンションについて詳しくはこちらの記事をご覧ください。)
HmP5bのスケールでこの条件に当てはまる音は、
ド・レ♭・ミ・ファ・ソ・ラ♭・シ♭の中で、
ファしかありません。ファはドから見ると11thにあたります。
なので、HmP5bのドミナントセブンスコードのテンションは、11thのみということになります。
コード表記にすると、C7(11)です。
どんなときに使うのか
以前の記事で、曲のメジャーとマイナーについて書きました。
この中で、マイナーキーの曲でトニックのファンクションのコードに解決するときは、マイナーセブンコードをドミナントセブンスコードに変えることがある、という話を書きました。
例えば、キーがC(=Am)の場合でいくと、
FM7→Em7→Am7
というコード進行があった場合、Em7をE7に変えて、
FM7→E7→Am7
にすることができる、ということです。
ここで使われているE7のスケールがHmP5bというスケールです。
というか、これ以外に使われているところをあまり見かけません。
ただ、このEm7をE7(キーがC=Amの場合)変えるというのは、よく使われるのでHmP5bもわりとよく使われるスケールになります。
さらに、もっとオシャレにしたい場合、コードの構成音を少し変化させて、
ド・レ♭・ミ・ファ・ソ・ラ♭・シ♭
の中からド・ミ・ラ♭・シ♭を選択します。ソでなくてラ♭にするんですね。
コード表記は、Caug7になります。
(コード表記の法則については、こちらの記事もご覧ください。)
両方をキーボードで弾いて聴き比べてみて下さい。
FM7→E7→Am7
FM7→Eaug7→Am7
2個目の方がより大人な感じの雰囲気がすると思います。
ホールトーンとは
ホールトーンスケールとは、全てが全音(whole tone)づつ離れているスケールのことです。
Cから始めた場合、
ド・レ・ミ・ファ#・ソ#・ラ#:全全全全全
となります。
構成音が6音だけのスケールです。
キーボードで弾いてみるとわかると思いますが、独特の浮遊感があるスケールですよね。
ホールトーンのコード
コードを作ってみます。
低い音から1音飛ばしで重ねると、
ド・ミ・ソ#
となり、3和音のCaugとというコードになります。
4和音にしたい場合は、さらに上の音を付け足しちゃいましょう。
ド・ミ・ソ#・ラ#(=シ♭)
これはコード表記だと、Caug7になります。
しかし、テンションについて考えてみると、
ド・レ・ミ・ファ#・ソ#・ラ#
ホールトーンは全ての音が全音づつ離れているので、コードの構成音以外が全てテンションとして使えます。
なので、先ほどのド・ミ・ソ#・シ♭のソ#(=ラ♭)もテンションとして捉えると、
ド・ミ・ラ♭・シ♭
は、C7(♭13)だということができます。
残りの、レとファ#もテンションとして使えるので、
全てのテンションを使った場合、C7(9・#11・♭13)ということになります。
どんなときに使うのか
ホールトーンについては、以前のこちらの記事でも書いていますが、
ドミナントセブンスコードを使っているところならどこでも、ホールトーンのコードに入れ替えることができます。
ホールトーンを使うことによって、突然エアーポケットに入ったような不思議な無重力感をつくることができます。
もう一つよくやるのは、スラッシュコードです。
(スラッシュコードについては、こちらもご覧ください。)
一つのホールトーンスケールのコードをずっと続けている間、ベース音だけスケール内の音でいろいろ動かす、というテクニック。
例えば、
C7(♭13)→C7(♭13)/D→C7(♭13)/E→C7(♭13)/F#
のように、C7(♭13)をずっと鳴らしつつ、ベース音はスケール上の音であるC→D→E→F#と動いていきます。
ホールトーンスケールは、半音でぶつかる音がないので、どの音をベース音に選んでも同じように響くことができます。
間奏なんかに使うと、不思議な感じが出せて面白いです。
以上、今回はHmP5bとホールトーンについて紹介しました。
これで、このシリーズで紹介したスケールは11本になりました。
次回はいよいよ、メロディックマイナー関係のスケールについて、代表的なものに絞って3つ紹介したいと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。