どのキーでもドレミファソラシドって歌っちゃえばいいじゃん!というお話。
絶対音程と相対音程
音楽の話をするときに、絶対音程と相対音程という考え方があります。音感じゃなくて音程です。
絶対音程とは、実際に鳴っている音のこと、ドレミ〜♪というメロディを例にすると、このメロディを半音上に転調させると、ド#レ#ファ〜♪というメロディに変わります。当たり前ですね。
一般的に音程の話をするときに使われる音の表し方です。
それに対して相対音程とは、メロディがどんなに転調してもドレミファソラシ〜という呼び方を変えません。
先ほどの例でいくと、ドレミ〜♪を半音上に転調させても、ドレミ〜♪と歌います。
ただし、最初のドレミ〜♪が「キーC(ハ長調)のドレミ〜♪」というのに対して半音上に転調後のドレミ〜♪は「キーC#(嬰ハ長調)のドレミ〜♪」と呼びます。
つまり、今いるキーの1度の音をド、今いるキーの2度の音をレ、今いるキーの3度の音をミ、というように、実音に関係なくそのキーの中の何度の音かで呼び方を決めるという音の表し方です。
相対音程のことを「移動ド」とも呼びます。今いるキーの1度の音(ドの音)が転調すると移動するから、「移動ド」ですね。
度数の話については、下記の記事を参考にどうぞ。
相対音程は何がいいのか
じゃあこの相対音程を使うとどんないいことがあるかというと、だいたいこんな感じです。
①楽器なしでメロディを書き留められるようになる
実音に関係なく、度数で音名を判断するので、頭の中に浮かんだメロディをすぐドレミで歌えるようになります。
相対音程では、頭の中で音が鳴っているけど何の音か楽器で弾いてみないとわからない、ということがありません。
1度の音(ドと呼ぶ音)さえ特定してしまえば、後はそのドから何音離れた音か、で全ての音名が決められます。
1度の特定にはイヤトレを実践することをお勧めします。
②転調に対応しやすい
いくら転調してもドレミファソラシ〜♪という呼び方を変えないので、転調に対応しやすいです。
転調が発生したら、そのキーの1度の音にドを移動させてしまえばOK。
どのキーにいってもドレミファソラシ〜♪の音でメロディを表せるので、特に転調の多い曲なんかで重宝します。
印刷された楽譜があるけど、急遽そこからキーを半音上げることになりましたー、みたいなときにも、元々の印刷された楽譜を見ながら半音上の音で演奏する、なんてこともできるようになります。
③音階を口で伝えるときに簡単になる
メロディを他の人に伝えるとき、例えばキーC#の曲で、C#~D#~G#~A#~♪というメロディを口で説明するとき、「しーしゃーぷ〜でぃーしゃーぷ〜じーしゃーぷ〜えーしゃーぷ〜」って言うの大変ですよね。
相対音程なら、「キーC#で、ドレソラ〜♪だよ」と言えばいいだけなので簡単です。
シラブルについて
最後に、音名の表し方の補足を。
ドレミファソラシ〜の音だけのメロディならいいんんですが、たまに臨時記号がついた音が出てくるときありますよね。ミ♭とかソ♯とか。
この場合も考え方は同じで、そのキーの中の1度からどのくらい離れているかで呼び方を決めます。
例えばそのキーの中で、1度から短3度離れていれば、どのキーにいても全てミ♭と呼びます。
で、「みふらっと〜」とか言ってるとせっかくの相対音程の伝えやすさ(口での言いやすさ)がなくなっちゃうんで、♭系・#系の全ての音に1文字の名前がついてます。
まとめると下記のような感じ。
ド#:ディ
レ#:リ
ファ#:フィ
ソ#:シ(※注1)
ラ#:リ(※注2)
レ♭:ラ(※注3)
ミ♭:メ
ソ♭:セ
ラ♭:レ(※注4)
シ♭:テ
注1:この呼び方は英語発祥なので、日本語だと7度の音のシと同じになってしまいます。7度のシはti・ソ#はsi、です。
注2:こちらも同様に、ラ#はli・レ#はri、です。
注3:こちらも同様に、6度のラはla・レ♭はra、です。
注4:こちらも同様に、2度のレはre・ラ♭はle、です。
ドレミファソラシの各音に、♯がつくと母音が「i」になる・♭がつくと母音が「e」になる、と覚えると覚えやすいです。(レ♭のみ例外)
新鮮なアイデアを新鮮なうちに
最初は聴き慣れない相対音程「移動ド」ですが、慣れると音楽上の意思疎通がめっちゃ早くなります。ぜひ使ってみて下さい。
意思疎通が早いと、新鮮なアイデアを新鮮なまま共有できるので、バンドやユニットで活動されている方なんか特にオススメです。
参考になれば嬉しいです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。