1人で曲づくりをしているのではなく、バンドを組んでいて、バンドとしての曲をつくっていきたい、という方も多いと思います。
複数人が曲づくりに関わるので、いろいろなアイデアが出やすい反面、コミュニケーションがうまくいかないと、意見がぶつかったり、逆に意見が言いづらくてバンド活動が苦痛になってしまったりと、気をつけなければいけないことも多いです。
今回は、バンドで曲をつくっていくときは、事前にメンバー間でスタンスの確認をしておいた方がいいですよ、というお話を書いてみます。
事前にミーティングを
バンドメンバー間での曲づくりの考え方に食い違いが起きないように、できればスタジオなどに集まる前に、事前にミーティングをして、どんなふうに曲づくりをしていくか話し合っておきましょう。
そうすると、実際にスタジオに入って作業する際にスムーズに進むと思います。
バンドでの曲づくりの進め方には、大きく分けて3つのスタイルがあると思います。
その3つを順番に説明していきます。
先導型
メンバー内の1人がほとんどの曲の骨格(メロディや歌詞、大まかなコード進行と構成など)をつくり、詳細なアレンジなどをスタジオに集まって全員で詰めていくスタイルです。
最初に曲をつくるメンバーが先導し、他のメンバーは自分の担当楽器や全体の抑揚などについて意見を出し曲を仕上げていく、みたいなイメージですね。
(ちなみにわたしの所属するバンドはこのスタイルです。)
場合によっては、集まった際にコードの変更や構成の変更もありえますが、基本的な曲のテーマなどは先導するメンバーが発想し、他のメンバーがそれについていくカタチです。
先導するメンバーの負担が大きいですが、曲の方向性がはっきりした状態で集まるので、曲を仕上げるスピードは速くなります。
ちょっと間違うと、ソロアーティストとサポートメンバーみたいな関係性になってしまうので、メンバー間で全体を仕上げるという、先導するメンバー以外の主体性が大事になります。
曲を書くのが得意なメンバーがバンドに1人いる場合、この方法が合っていると思います。
コライト型
コライト(Co-write)とはもともと、作曲家が複数人集まって一つの曲を書くことを指します。
これをバンドに応用し、それぞれがその場で曲のテーマやメロディ、歌詞などのアイデアを出し合い曲づくりを進めていく方法です。
メンバー全員が曲のコア部分のアイデアを出さなければならないので、全員がある程度のソングライティング技術を持っていることが必要です。
ハードルはやや高いですが、1人では考え付かない方向性や曲の展開などを組み合わせることができるので、うまく曲が出来上がると、かなりのクオリティに仕上がると思います。
場合によっては、テーマを全員で決めた後、歌詞はこの人、メロディはこの人、リズムはこの人、というように得意分野ごとに割り振る方法もあります。
その場合も、自分の担当以外のパートの仕上がりについてもしっかりクオリティの吟味をする各メンバーのスタンスが重要です。
ジャム型
細かいことは気にしないで、とにかく音を鳴らそうぜ!というロックなスタンスのバンドにオススメです。
ジャムとは簡単にいうと、アドリブのセッションのことです。
とりあえず何も決めずにスタジオに入り、自由に音を鳴らします。
あるメンバーがいいフレーズを思いついた!と思ったら、そのフレーズに他のメンバーが即興で合わせ、バンド全体のアレンジをつくっていきます。
そんなフレーズをいくつかつくり、合うと思うものを組み合わせていって、一つの曲にします。
ボーカルのメロディや歌詞も、とりあえずその場で即興でつくり、不自然なところはあとで微調整する、というような感じです。
とてもバンドらしいスリリングなつくり方で、そのバンドの個性や勢いみたいなものが出やすいつくり方だと思います。
思いがけず不協和音になってしまったり、普通じゃない構成になったりと、偶然がもたらす変化がまたそのバンドらしさを醸し出して、いい感じになったりします。
反面、各メンバーには、即興で出てきたフレーズに上手く合わせられる、高い演奏スキルが求められます。
スタジオの雰囲気が大切
それぞれのバンドのスタイルと、各メンバーの考え方によって、フィットするつくり方を考えてみてください。
どんなつくり方をするにしても大事なのが、スタジオでの雰囲気作りです。
メンバー全員がリラックスしていて、気兼ねなく意見を言い合える雰囲気でないと、よいアイデアはなかなか出にくいです。
誰かが黙り込んでいたり、周りを気にせず作業に没頭していたり、不機嫌だったりすると、なんか雰囲気悪くていい音楽できなそうですよね。
全メンバーがその日のスタジオを有意義にしよう、しっかりコミュニケーション取ろう、仲間をリスペクトしよう、というちょっとした気遣いを持っていられると、そのバンドはいい曲がつくれると思います。(ライブのリハーサルについても同じです。)
以上、バンドでの曲づくりについて書いてみました。
同じ音楽を愛する人たちと一緒に音を感じられるって、とても素敵なことですよね。
何の気兼ねなくスタジオで音を合わせたり、ライブができたりする日々が早く戻ってくることを祈っています。
最後まで読んでいただきありがとうございました。