コード表記をみたときに、そのコードと一緒に使える音がわかるようになります。
あるコードが鳴っているときに、どんな音をメロディや伴奏楽器に使えるかがわかると、オリジナル曲をつくる際に役立ちます。
特に先にコード進行を考えてからメロディを考えるタイプの方には必須の知識だと思います。
コードの構成音
あるコードが鳴っているとき、もちろんそのコードの構成音を一緒に使うことができます。
コードの構成音は、ルート・3度・5度・7度の音が基本的なものです。
コードの構成音について詳細はこちらの記事をご覧ください。
テンション音
次に、そのコードのテンション音も一緒に使うことができます。
テンション音として使える音には法則があります。それは、
スケール上の音で、、
①コードトーンの間にある音
②前の音と全音以上はなれている音
という条件を満たす音です。
テンション音について詳しくはこちらの記事に書いております。
例題①
以上のことを踏まえて、実際にコード表記から使える音を導き出す方法をみてみましょう。
例題①:Fm7
Fm7で使える音を考えてみましょう。
まずコードの構成音。
ルートがF、3度はmの表記なのでFからみて短3度にあたるA♭です。
5度はFからみて5度上の音なのでC。
7度は7の表記があるので、短7度のE♭になります。
まとめると、F-A♭-C-E♭です。
次にテンションです。
まずテンションの条件①を考えます。
各コード構成音の間の音を考えましょう。
FとA♭の間には、G♭とGがあります。
A♭とCの間にはAとB♭とB。
CとE♭の間にはD♭とD。
E♭とFの間にはEがあります。
このうち、Aの音はFからみて長3度の音になります。コード表記はmで短3度を指定しているので、Aの音は使える音から除外しましょう。
同じようにEの音は短7度のコード表記と矛盾するので、こちらも除外です。
残りは、
F・A♭間のG♭とG。
A♭・C間のB♭とB。
C・E♭間のD♭とD。
次にテンションの条件②を考えます。
テンション音として使う場合、前の音と全音以上離れた音を選択するので、F・A♭間はG、C・E♭間はDを選択です。
今まで選んだ音を低い方から並べてみましょう。
F・G・A♭・C・D・E♭
が使える音として現れました。
最後にA♭・C間のB♭とB。
この2音は両方とも前の音と全音以上離れています。
あとは響き的に気にいる方を選択すればよいのですが、おそらく実践的にはB♭を選択するほうが圧倒的に使いやすいと思います。
実際に鍵盤で演奏してみて合うと思う方を選びましょう。
左手でコードの構成音を押さえて、右手で聴き比べたいテンション音を単音で順番に弾いてみるとわかりやすいです。
キーとのマッチング
上の例で最後にB♭を選択した場合、全ての音をならべると、
F・G・A♭・B♭・C・D・E♭
となります。これがFm7コードのスケールです。
(ちなみにスケール名は、Fドリアンスケールといいます。)
ここで1つ注意点。
テンションを選ぶ際は、必ずしもテンション音として使用できる音を選択しなくてもよいです。
例えばスケールを、
F・G♭・A♭・B♭・C・D♭・E♭
で作った場合、G♭とD♭は使えなくなります。
が、こういう選択もありです。
(ちなみにこのスケールはFフリジアンスケールといいます。)
ではその判断基準はなんなのか。
それは曲のキーとのマッチングです。
曲のキーがE♭だった場合、その曲で使われる音は基本的にE♭をルートにしたダイアトニックスケールの音、つまり、
E♭・F・G・A♭・B♭・C・D
となります。
この音によりマッチしているのは、最初につくった方のスケール(Fドリアンスケール)です。
もし、キーがD♭の場合は、二つ目に書いた方のスケール(Fフリジアンスケール)がマッチすることになります。
こんな感じで考えてみてください。
例題②
では同じ要領で次の例題を考えてみて下さい。
例題②:FM7
コードトーンはそれぞれ、F・A・C・Eです。
テンションは、全て全音間隔になるように間の音を考えると、G・B・Dとなります。
まとめると、
F・G・A・B・C・D・Eとなります。
(これはFリディアンスケールといいます。)
ただし、場合によっては、
F・G・A・B♭・C・D・E
となり、B♭は使えない、という選択肢もあります。(ちなみにこれは、Fアイオニアンスケール。)
これはキーよって合う方を判断して下さい。
以上、コードとスケールのお話でした。
ここでは取り扱いませんでしたが、ドミナントセブンスコード(例えば、F♯7とか)のスケールも考えてみると非常に面白いです。
コードからメロディを作る方は、こんな感じでロジカルに考えてみると新たな発見があるかもしれません。
以上、参考になれば嬉しいです。
最後まで読んで頂きありがとうございました。