オリジナル曲にオシャレさをプラスしたいとき、ホールトーンスケールという不思議なスケールがとっても使い勝手が良いので紹介させてください。
ホールトーンスケールとは
ホールトーンスケール(Whole tone scale)はその名の通り、全ての音が全音(半音二つ分)離れているスケールのこと。
実際の音で見てみると、
C・D・E・F#・G#・A#
C#・D#・F・G・A・B
の二つの音階しかありません。
鍵盤上で確かめるとわかりやすいですが、全ての音が全音離れていて、1オクターブに収まるのはこの二つだけです。
ちなみにどちらの音階も、どこの音から始めても構成音が変わることがないので、上記の2種類の音階にまとめて考えます。
(C・D・E・F#・G#・A#、は例えば途中のEから始めても、E・F#・G#・A#・C・D、になって構成音が変わらないから、この二つは同じ音階だよね、ということです。)
不思議な無重力感
この音階弾いてみるとわかりますが、なんとも言えない不思議な響きがします。
次に何がくるかわからない、突然異世界に迷い込んでしまった、そんな印象の音です。不思議な無重力感とでも言いましょうか。
この無重力感、曲のコード進行が退屈に感じたり、ワンパターンになってしうときに、とっても使い勝手が良いんです。
それまでのコード進行がつくってきた世界観を、いい意味で裏切るような、リスナーをハッとさせるような効果が狙えます。
ホールトーンスケールのコード
ホールトーンスケールの音からどんなコードが作れるか見てみます。
ここではCをルートに考えてみます。
ルートのCからちょうど長3度上のEがあります。完全5度上の音はないので一旦保留。
7度については、A#=B♭が短7度に当たるので、これが使えそうです。
(コードの作り方の基本については、こちらで解説しています。)
その他の音、D・F#・G#については、全て前の音と全音離れているので(ホールトーンスケールなので当たり前ですが笑)、テンションとして使用可能です。
(テンションとして使える音については、こちらで解説しています。)
以上をまとめると、コードはこんな感じになります。
C7(9・#11・♭13)
Cがルート・Dが9th・EがM3・F#が#11th・G#=A♭が♭13th・A#=B♭がm7です。
テンションが3つ使えるドミナントセブンスコードです。5度は省略ですね。
スケール上のすべての音を使うことができる珍しいコードです。
テンションが3つありますが、曲の雰囲気に応じて必要なものを選んで使っていくことになります。
無理に全部使うとちょっとうるさい感じになるので注意です。
エアーポケットをつくる
では、このコードを使うとどんな感じの雰囲気を表現できるのか、例をみてみましょう。
例えばダイアトニックコードでこんなコード進行を作ったとします。
CM7→Dm7→FM7→G7→CM7
G7のところが、ホールトーンスケールでできるコードと同じドミナントセブンスコードなので、ここのコードを入れ替えてみます。
CM7→Dm7→FM7→G7(#11・♭13)→CM7
G7(#11・♭13)がホールトーンスケールですね。
ホールトーンスケールのコードが鳴った瞬間、フッと空中に投げ出されたような不思議な感覚になりませんか?
ホールトーンスケールのコードで、フレーズに一瞬現れるエアーポケットのような場所をつくれます。
基本的にドミナントセブンスコードになっているところをどこでも、ホールトーンスケールのコードに差し替えることが可能なので、とても使い勝手が良いです。
オシャレさはちょっとした知識と工夫
ホールトーンスケールに限らずですが、こんな感じで、ふとした瞬間に特殊なコードをちりばめることでオシャレさの演出になることがあります。
いろんなスケールやコードを知って、それをやりすぎない程度に挟み込んでいく。
料理で言うとこの胡椒とかスパイスみたいなものですね。
そんなスパイス的テクニックは他にもたくさんあるので、機会があればまた書きます。
ホールトーンスケール、面白いので是非使ってみてください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。